みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成14年3月1日号 No.907

上手な病院のかかり方 かかりつけ医をもとう

佐伯地区医師会 廿日市支部 明石 陽三郎

皆さんは病気になったとき、どのようにして病院を選ばれていますか?

わたしたちは、自由に好きな病院を受診することができますが、いざ病気になれば、病状を自己診断して市販薬で済ませる人、かかりつけの医院に行く人、中にはどんな病気でも大病院で受診する人とさまざまだと思います。されざれに欠点・利点がありどの選択が一番よいといえるものではありませんが、長い間医療に携わってきた立場から考えてると、信頼できるかかりつけ医をもつことが大切です。

現代の医学の進歩はすさまじく、わたしが医師になりたての30年前に比べると、医療機器の進歩とともに医療内容もどんどん変化しています。また、病気の診断技術や治療技術も複雑で高度に専門化し、技術の習得に修練を要するようになりました。1人の医師がすべての病気に通じ全部を行うことは、事実上困難となってきているように思います。

したがって、各専門医が力合わせて行う「共同診療方式」が、これからの医療の方向になっていくと考えます。その際、治療方針の方向づけと病気のマネージメントは、かかりつけ医の大事な仕事になるのではないでしょうか。

本市においても、開業医、一般病院、高機能病院がそれぞれの特質を生かしながら地域医療の充実が図れるように、病院と診療所は協力関係を強化しています。

広島総合病院においては、開放病床(開業医で診ていた患者の入院が必要になったとき、広島総合病院へ入院して病院医師とかかりつけ医とが共同治療にあたること)の開始、二次救急(一次救急で重症なために更に高度な医療を必要とするときに受け入れる病院)の受け入れ体制などが強化されています。

開業医は、患者と病院の間にたって、症状により患者に適時必要な高度医療を受けてもらったり、症状が回復すれば再び通院治療をしてもらったりというような病診連携医療を主体とした医療体制の中で、病気の初期および安定期を担当します。

したがって、患者にとっては、通院しやすい身近な診療所の中からかかりつけ医を選び、かかりつけ医とのパイプ(信頼関係)を太くしていおくことが、上手な病院のかかり方に通じるのではないかと考えます。病気は医師と患者の信頼関係がないと治る病気も治らなくなることがあります。かかりつけ医の選択にあたっては、有名医や専門医である必要はなく、何度かの受診を通じて相性の良し悪しや信頼感がもてるかどうかが大事な要素となるのではないでしょうか。